自分の緑内障をきっかけに耳ひっぱりに注目
私が耳への刺激に興味を持ち始めたのは、今から5年ほど前のことです。きっかけは、私自身の持病である緑内障(視野が欠けたり狭くなったりする病気) でした。
緑内障についてはこちら。
緑内障の予防・改善のためには、目の周囲の血液循環をよくすることが欠かせません。この日の血行をよくする手段として、私が注目したのが耳でした。
東洋医学では、耳には全身の病気や症状に対応したツボがあると考えます。例えば、目の血流が改善し、緑内障の予防・改善に役立つとされるツボでは、耳たぶの中央部分にある「新明」などが有名です。
最初は、自分の病気の改善のために耳のツボに興味を持ち、調べ始めたのですが、次第に自分の専門分野である認知症の予防・改善のために役立てることができないかと考えるようになりました。耳へのツボ刺激によって、日の血流が大幅に改善するとなれば、このとき同時に脳の血流もよくなることが想像できます。
発生学的にいえば目は、脳の一部が左右に飛び出してできたもので、構造や機能が似通っています。
目の血流が高まると、脳の血流も高まるのです。先述したように、耳には全身の病気や症状に対応したツボがたくさんあります。こうしたツボを的確に刺激することによって、脳の血流をアップさせることが可能ならば、認知症の予防・改善のために有効に違いありません。
耳ひっぱりで脳は活性!効果は3日間持続する
そもそも認知症の進行と、脳の血流の問には、密接な関連があります。 認知症は、精神疾患であると同時に、本質的には生活習慣病だからです。生活習慣病を持つ人は、長い年月の問に血管が大きなダメージを受け、脳卒中や心筋梗塞など、血管が詰まったり、破れたりする致死的な病気を起こします。
認知症も同様で、長い間に脳内の血管がダメージを受け、次第に血管から供給される酸素や栄養素が受け取りづらくなり、かつ老廃物を効率よく回収できなくなります。
それが、脳の細胞にダメージを与え、細胞が弱ってくることが発症の遠因とみなすことができるのです。
つまり、認知症の大半に脳の血流の問題があるため、脳の血流をアップさせる耳への刺激は、認知症の予防・改善のために有効な手段だと考えました。
認知症を予防・改善するためのトレーニング(「認トレ」 の準備運動として、すべての人に「
耳ひっぱり」(を指導するようになりました。
最初に耳ひっぱりを行い、脳の血流をアップさせれば、その後に行う音読や計算ドリルなどの多様な認トレを、より効果的に進めることができるのです。耳ひっぱりをした後に認トレを行うと、脳が活性化した状態が2〜3日間継続します。実際に認トレを行った参加者への問き取りから、こうした傾向が顕著であることが判明しました。なお、耳ひっぱり私の緑内障に、進行を遅らせるというよい効果を現しています。
耳ひっぱりで重要なのは、個々のツボへの刺激よりも、耳全般をよく刺激することです。時間にして2〜3分ですので、朝日覚めたときや、夜、寝る前に行ってみるといいでしょう。