耳鳴りの原因は体の痛みからきているものがある
耳鳴りの原因でもっとも多いのが難聴です。本人には自覚がなくても、耳鳴りで悩む人の多くに難聴があります。
そうした場合には補聴器を使って音を補えば、耳鳴りがうそのように改善する例が少なくありません。
補聴器についてはこちら。
ただし、あくまで多くであって、難聴とは関係のない耳鳴りの人もたくさんいます。また、補聴器を使うほどでもない難聴であっても、ひどい耳鳴りに悩む人もいます。
海外の最新研究によると、体の痛みが耳鳴りに化lナてしまう人がいることがわかってきました。その数は、なんと耳鳴り全体の約6割以上を占めるというデータもあります。
例えば、交通事故でムチウチになり、約2ヶ月後に耳鳴りが始まる人がいます。
ひざ痛や腰痛がある程度改善し、1〜2年たってから、急に耳鳴りが始まる人もいます。
痛みやしびれが原因の耳鳴りがあるのです。こうした耳鳴りは、体の感覚から起こることから「体性感覚の耳鳴り」と呼ばれています。この種の耳鳴りは、痛みのシグナルを「
耳ひっぱり」などで別方面に逃がしてやると、治まることがわかってきました。
臓の誤作動が痛みを耳鳴りと勘違いする
音は振動になり、内耳の蝸牛にある有毛細胞によって電気信号に換えられ、聴神経を介して脳へ伝えられます。
脳で初めて音として認識されるのです。その神経上の中継地点が、脳幹にある「蝸牛神経核」という部分です。ここを中継して、電気信号は大脳へ伝えられ、初めて音として認識されます。
この蝸牛神経核のある脳幹部はとても狭く、同じ場所をさまざまな神経が通っています。皮膚の感覚と体性感覚を司る神経は同じ場所を通り、蝸牛神経核が中継地点となっています。
神経は、入ってくる情報が増えると、それに反応する神経細胞( ニューロン)も増えるという性質を持っています。
例えば、
腰痛やひざ痛などがあると、痛みの情報が増え、それに反応する神経細胞も増えます。その結果、中継地点を通る情報量が増大します。その結果、脳がすごく痛いと感じるようになるのです。
一方、加齢などによって聴神経が衰えると、耳から入る情報が少なくなります。その結果、中継地点を通る情報量が減少し、聴神経の方に遊んでいる神経の部分ができるわけです。この情報量のアンバランスが脳の誤作動を起こします。
大量に流れる痛みの情報が、中継地点で聴神経の情報へ問違って流れるのです。そして聴覚皮質は、体性感覚のシグナルが問違って届いたにも問わらず耳鳴りとして知覚してしまいます。
鍼灸やマッサージ、整体なども有効
この誤作動を治すには耳ひっぱりのような体への直接的なイタ気持ちいい刺激(軽微な皮膚刺激)が有効です。体性感覚の耳鳴りであっても、そのきっかけは聴神経の衰えです。衰えて情報量が減少し、痛みなどによる脳の誤作動が起こるのです。
耳ひっぱりで聴力がアップすれば、聴神経の情報量は増え、誤作動を防ぐ効果があります。鍼灸やマッサージ、整体、ウォーキングなどで耳鳴りが和らぐという人は、体性感覚の耳鳴りの可能性があり、耳ひっぱりはよく効くと思います。
また、この耳ひっぱりでは、耳の下から首の両横を走る太い筋肉(胸鎖乳突筋)も伸ばすようにします。この筋肉が加齢によって衰えると、顔が前に落ちてくるためにネコ背となり、耳の位置もさらに下がります。
耳ひっぱりで胸鎖乳突筋も鍛えれば、耳の位置は劇的に上がり、それは聞こえにもよい影響が期待できるでしょう。耳鳴りの予防・改善だけでなく、難聴の改善のためには、耳ひっぱりを継続することです。ひっぱりを継続すれば、耳と脳へのよい刺激となります。