高いときは270mg/dlにもなった血糖値が糖質制限食で正常化
主食を抜いて糖質の摂取量を減らす糖質制限食を考案した当時は本当に効くのかどうか半信半疑っでした。
ところが、糖質制限食によって、重度の糖尿病の患者さんの高い血糖値が劇的に下がるという例を目のあたりにして、糖尿病食に対する考え方を180度変えることになりました。
その患者さんは、血糖値が異常に高く、入院前の食後2時間の血糖値は560mg/dlもありました。入院してからは、カロリー制限による従来の食事療法を行いましたが思ったように血糖値は下がりませんでした。
そんな折、たまたま研究途上にあった糖質制限食の豪華なメニューを見たその患者さんが、自分もそれを食べてみたいといいだしたのです。
糖質制限食は主食分のカロリーをおかずで補わなければならないため、品数が多くボリュームもあります。食べごたえのない従来の糖尿病食に辟易していた患者さんが、糖質制限食に飛びついたのも無理はありません。
当時、糖質制限食を実行するにはまだまだ不安がありました。しかし、血糖値が安定しない患者さんの熱意に押され試してみることになったのです。
すると医師側の不安をよそに血糖値はどんどん下がりはじめ、1週間後には異常値も落ち着いてきたのです。
この結果から、糖尿病を招く食事の問題は、カロリーや脂肪ではなく、糖質そのものにあると気がついたのです。
血糖値が急減し、体重も減量できた
そうしたことを受けて、私地震も糖質制限食を行うことにしました。 そもそも私は、週に1一度はテニスをするなど運動に励み、食事では油物をとらないようにしていましたが、体重が増えつづけている状態で、体重が67キログラムにまで増えていました。そして、52歳のときに、食後2時間の血糖値が270mg/dlに達していて、糖尿病だとわかっていたのです。
医師という仕事柄、健康には人一倍、気を使っていただけに、自分が糖尿病だとわかったときは大きなショックでした。
医師という仕事柄、健康には人1倍、気を使っていただけに、自分が糖尿病だとわかったときは大きなショックでした。
さらに、私の健康面の異常は糖尿病にとどまりませんでした。実は、診療の勤務が終わったあとに職場で自分の血圧を測定したら最大血圧180mm/HG、最小血圧110mm/HGもあることがわかったのです。
もつとも、職場で緊張しているときは誰でも血圧が上がりやすいものです。自宅で血圧を再度測ったところ最大血圧は一150、最小血圧は90ミリと、いくらか下がっていました。幸いにも頭痛などの自覚症状は全くなかったので、差し当たって降圧薬は服用せずに様子を見ていました。
高血圧・高血糖を克服できた
そんな中、ふだんの食事を「スーパー糖質制限食(1日の3食とも主食を抜く食事法)」に切り替えることにしたのです。 糖質制限食の効果は一目瞭然でした。食後二時間の血糖値はすぐに140ミリ以下になり、体重もどんどん減って、10キロものダイエットにも成功したのです。同時に、血圧も体重の減少とともに少しずつ安定していきました。スーパー糖質制限食を始めて半年後には、降庄薬を使わなかったのにもかかわらず、最大血圧が120、最小血圧が80ミリという水準に落ち着いたのです。
私は昔からビールで晩酌するのが日課になつていましたが、どうやらこれが糖尿病の原因の1つになっていたようです。糖質制限食に切り替えてからはビールをやめ、糖質の含まれていない焼酎かウィスキーを飲むようにしています。禁酒をする必要のないことも、糖質制限食のいいところです。
また、糖質制限食を一定期間行うと、血糖値の急上昇しない状態が続くため、膵臓が十分に休まり、しだいにインスリンを分泌させる働きも正常になっていきます。
ちなみに、私の場合、今でもご飯、パン、メン類は食べていません。主食を抜く代わりに、多品目の副菜をたくさんとるので、空腹感は全くないのです。
糖尿病でも糖質制限食なら好きなものをお腹いっぱい食べてもOK、主食の炭水化物を食べない食事療法