自覚症状に気づいたら骨まで炎症が進んでいる
かつては、歯槽膿漏と呼ばれ、中高年の病気というイメージが強かった歯周病。しかし、近ごろでは、10代、20代の若年層にも広がり、25才以上の成人の8割がかかつているというデータもあるほど。
だれもが無頓着ではいられない疾患だといえます。
歯周病は、口中の細菌によって引き起こされる疾患。炎症が起きると、まず、歯肉が赤く腫れるなどの「歯肉炎」の症状があらわれます。 さらに、歯肉の炎症だけにとどまらず、歯を支える骨が破壊され始めると、「歯周炎」となるのです。
ところが、この段階に至っても、虫歯などと違い、痛みを感じることが少ないため、異常に気づかないのがほとんど。これが、歯周病が〝沈黙の病″と呼ばれるゆえん。痛みや、歯がぐらつくなどの自覚症状があらわれたときには、骨の破壊が進み、歯を支える力を失って、歯が抜け落ちるという、とり返しのつかない状態に陥つていることがあるのです。
歯を失う原因というと、虫歯と思われがちですが、永久歯の抜歯原因としては、虫歯が約31%、歯周病が約42% 。じつは、歯周病のほうが、虫歯より高い割合を占めています。
歯肉の傷口から侵入した歯周病菌が心臓へ
しかも、近年の研究では、歯周病が、全身の疾患にも影響を及ぼしているということが、次々と明らかになってきているのです。その一例としてあげられるのが、心臓の病気を引き起こす危険性。 炎症が進んだ歯周病では、歯と歯肉の境のバリアーが破壊され、「歯周ポケット」という溝ができ、その中には、大量の細菌が入り込んでいます。 歯周ポケット内部は、とくにダメージを受けやすい部分。
歯磨きの際などに、出血することがしばしばあります。しかし、これは、ただ単に出血しているというだけではおさまりません。歯周ポケット内に潜んでいた歯周病菌が、破れた血管から、血中に侵入するということをも意味しているのです。
このように、体内に侵入した細菌が、血液中を流れる状態を「菌血症」といい、心臓に炎症を起こし、心内膜炎の一因となることが、以前から指摘されています。
さらに、近ごろでは、心内膜炎以外の心疾患との関連もとり出たされており、40% 以上の歯骨が壊されている歯周病患者は、致命的な心疾患にかかる確率が、2.7倍にもなるという報告もあるのです。
また、糖尿病との関係も忘れてはいけません。歯周病と糖尿病は、相互に関連し合い、糖尿病患者は歯周病になりやすく、歯周病患者は糖尿病になりやすいということがわかってきているのです。これは、双方で分泌される免疫に関する物質(サイトカイン)が、悪影響を及ぼし合うためだと考えられます。
「感染症」と「生活習慣病」2 つの側面
そもそも、歯周病は、細菌によって引き起こされる「感染症」ですが、その原因菌は、複数いると考えられ、強い毒性のあるものではありません。ところが、ある状況に陥ったとき、この菌がプラーク赤く鹿れている骨は上まである歯肉炎から大きくはがれる赤や赤紫色に鹿れる骨が薄ける歯周炎となり、悪さをし始めるのです。
その状況とは、第1に、細菌がふえすぎたとき、第2に、細菌に対する抵抗力が低下しているとき。たとえば、細菌のエサになる糖分の多い食生活や、職場や家庭の問題によるストレスで免疫力が低下することなどによって、歯周病が引き起こされたり、悪化したりします。つまり、歯周病は、細菌によって引き起こされる「感染症」であると同時に、食生活や生活環境といったふだんの生活に由来する「生活習慣病」でもあるのです。
歯周病菌を除去するとともに、生活習慣の改善によって、歯周組織や、全身の抵抗力を高めることが、歯周病撃退の近道。しつかりブラッシングするのはもちろん、「食べ物をよく噛んで食べ、歯周組織を鍛える」「適度な運動や睡眠でストレスを解消し、免疫力を高める」など、毎日の生活のなかで、しっかり歯周病対策を行っていきましょう。それが歯を守るとともに、全身の健康を守ることにもつながっていきます。
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