血液循環療法は、その名のとおり、血液の循環が滞っている部分を直接刺激し、患部の血液の循環をよくして、症状を改善しようとする治療法です。
そもそも私が血液循環療法を知ったのはずいぶんと昔で、今から25年ほど前です。もともと私は、西洋医学だけではなく、東洋医学にも関心があった、先生のセミナーに参加し、血液循環療法の理論と実践を学びました。
その技法を身につけた私は、患者さんに押圧するだけでなく、患者さんにやり方を指導して実践してもらうようになりました。
血液循環療法は、目の治療のサポート手段として大いに役立つものなのです。「目は口ほどにものをいう」と、昔からいわれていますが、これは、医学的に見て正しいと思われます。体調と目の状態は、連動しているからです。目の静脈を見ることで、血液のサラサラ度を知ることができます。
通常は、血管の中を赤血球がサラサラと流れていますが、血液がドロドロしてくると、血流が悪くなり、速度も遅くなるのです。さて、目を流れる血液というのは、全身から来ています。心臓から目へ直接流れ込む血管は存在しませんから、全身を巡ってきた血液が目に入ります。つまり、目の血流は、全身の血流と密接に関係しているのです。そのうえ、目は水分が多く、かくまくむくみやすい器官です。角膜の水晶体の前には、房水という水があり、目の健康を保つためには、この出入りをよくすることが重要になります。
そして、この水分を排出してむくみを取るためにも、目の血流が順調であることが不可欠です。血液がドロドロして血液循環が悪くなると、水分が滞るので目は濁ってむくんできます。こうなると、視力にも悪影響を及ぼしてしまうのです。こうした意味で、目の健康を守り、目の病気を予防・改善するためにも、目の血液循環をよくして、目の水分代謝を活発にすることが重要です。その点で、血液循環療法による目の押圧は非常に役立ちます。
私は、漢方医の資格も持っているので、専門の眼科以外の相談もしばしば受けます。例えば、五十肩やひざ痛などの症状は、血液循環療法の押圧で、その場で患者さんの五十肩やひざ痛を楽にしてあげることが可能なのです。
私のクリニックの場合、目の病気で訪れた患者さんが、ついでにひざ痛も治って、とても喜んで帰るということがよくあるのです。先ほどもふれたとおり、目の血液循環は、目の健康状態と密接に関連しています。ですから、目の周囲を押圧して、目の周辺の血行を改善することは、目のさまざまな症状の改善に役立ちます。
目の押圧によって、眼精疲労やかすみ目、老眼などの自覚症状を軽快させる効果が期待できるでしょう。それに、目の症状に悩まされているかたの肩にさわってみますと、ひどく扇がこつていることが多いのです。これは、目の血流が、全身の血流と連動しているという前述の話ともつながる現象です。
そこで、目の押圧とともに、肩こりなども血液循環療法によって解消してやると、眼精疲労や老眼、かすみ目などの症状改善のために大きな効果が上がるのです。ただし、目の症状が重くなってきたときは、血液循環療法に加えて、食事面での配慮も必要でしょう。
例えば、緑内障を患っている患者さんは、肩が鉄板のように張っていることが多いものです。それは、全身の血液循環が悪くなっていることを示しています。
おそらく血液の状態も、ドロドロになっている可能性が高いので、食事面での配慮が必要でしょう。そのうえで、血液循環療法を行い、目の周囲、さらに全身の血流をよくすれば、緑内障などの改善にも効果が期待できます。こうして血液循環を改善したところ、緑内障の視野狭窄(視野が狭まること)が改善したというケースもあるのです。