私は、「血液循環療法」を提唱しています。この療法の歴史は古く、現在、一般的に知られている「指圧法」が広まる以前から行われていました。
血液循環療法は、ある先生が明治43年に創案したもので、100年もの歴史があります。名称から、指圧やマッサージと似たようなものとお考えになるかたも多いかと思いますが、その背景にある治療理論にしても、効果をもたらす手技にしても、指圧やマッサージとは大きな違いがあります。
血液循環療法の基本的な考え方は、非常にシンプルで、「しこりをほぐせば、病気が治る」というものです。一般に指圧法というものは、患部から離れた場所を刺激します。それは、その疾患や症状のけいけつ反応点といわれるツボ(経穴)を押す、ツボ刺激療法であるわけです。これに対して、血液循環療法は、患部を直接「押圧」し、患部の血液循環障害を改善します。
それは、五十肩やひざ痛などの関節痛だけに限りません。例えば、心臓病やさまざまな内臓疾患などにおいても、患部周辺をさわってみると、しこりが見つかることが多いのです。しこりは、患部の血液循環が滞っている証拠といってもいいものです。
血液循環療法では、このしこりを押圧して、その解消を目指します。特長としては、だれにでも指一本で簡単に実践でき、場合によっては、3分ほどで効果が出ることが挙げられるでしょう。血液循環療法では、しこりのある部分を押圧するとき、指でジワーツと適度な圧をかけて押し、次の瞬間バッと指を離して圧を解放します。
圧をかけられたとき、患部の毛細血管は、ゆっくり圧迫され、悪い血液は、庄によって患部から静脈側に押し出されます。その後、急激に圧を解放することによって、新しい動脈血が患部に流れ込んできます。つまり、新鮮な酸素や栄養が患部に供給されることになるのです。これをくり返すことによって、代謝が促進されて患部のしこりがしだいにゆるみます。
しこりがゆるむころには、患部周辺の血液循環も大きく促進しています。そして、こうレた一連の変化によって、患部の痛みやさまざまな症状が改善されることになるのです。
ちなみに、マッサージの場合も、患部もしくは患部たる皮膚をなでさするわけですが、これによってある程度循環が促されるのは、皮下の静脈血やリンパ液の流れにすぎません。深部の血流の改善は、あまり期待できないのです。しかし、血液循環療法では、深部にある動脈血の血流も促す点が大きな違いとなっています。あるいは、胃炎や心臓病といった、いわば、体の内奥の疾病に対しても、血液循環療法は対応しています。胃炎や心臓病の場合でも、しこりが必ず現れる特定の部位は、厳然と存在します。その部位をじっくりと押圧することで、胃炎や心臓病などに対して、確実に効果を発揮するのです。
血液循環療法が対応できる症状は、実にさまざまです。例えば、私は、心不全を起こした患者さんの命を、血液循環療法による緊急的な手当てによって救ったことがあります。また、私はかつて、高血圧ぎみで、最大血圧が130mmHGを超えていました。
しかし、押圧を日々実践したところ、ずっと正常値を維持しているのです。さらに、若いころは飲みすぎや食べすぎの傾向があり、胃もたれや下痢に悩まされていて、体脂肪率は25% もありました。それが、現在では、胃薬も整腸剤も必要なく、体脂肪率は7% ほどになっているのです。
また、昨年6月、残雪の上を登山した際に、サングラスをしなかったため、飛蚊症(目の前を蚊が飛ぶように見える症状)を発症し、さらに眼精疲労にも悩まされました。これも自分で目の押圧を施すことで改善させることができたのです。